2017年9月22日金曜日

地域移行に挑んだ実践者たち②(光輝)


皆さんこんにちは、コガソーシャルファクトリィ、の古雅紗那です。

今回は古めかしい旧体制の支援構造に挑み、地域の活動を目指して戦った実践者たちのお話のつづきとなります。少々長めですが、下記の動画と共にお楽しみください。
 

実践者たちと、利用者さんにたちはだかったかべのひとつが、地域住民の障がい者施設受け入れの意識だった。中越福祉会はそれまでも入所施設でのさまざまな地域交流活動を通じて開かれた施設、地域とともにある施設をPRしてきた。住宅地域へのグループホーム開設にあたり、そうしたポリシーを訴えて何とか住民に理解をしてもらったものの、いざ開設場所が決まると周辺住民からはやはり受け入れられないと強硬に反対されたという。行政や警察、地区の委員などに協力を求めながら何度も説明会を開いて、ようやく開設を理解してもらった背景があった。

 

GH(グループホーム)オープン以降、通所授産施設も開設して地域社会の中で障がい者が一緒に暮らし、働く環境に対する偏見も徐々に少なくなり、GHの数も増やし現在に至った。今では多数の障がい者が地域社会で生活し、町のあちこちに姿が見られるようになり、地域が大きな変化を見せつつある。今では空き家をグループホームとして自ら提供してくれる人も出てきたし、世話人として勤められるかという問合せも多くなったという。

地域社会の中で障がい者が暮らす支援とともに、就労についてもさまざまな取り組みを展開している。複数ある授産施設の定員は、就労支援移行・就労継続支援B型・生活介護支援利用者を合わせて150人以上にのぼり、これまでに十数人が企業に就職を成し遂げている。

授産施設の運営に関する一般的な課題は、製品の品質が低いだろうというイメージと、収益性の極端な低さで、その結果としての工賃の金額の極端に安さである。彼ら実践者たちは、障がい者の自立生活を支援し、かつ施設運営を健全化するため、まず『福祉施設で作ったものだから、安かろう・悪かろう』というイメージを払拭し、作り出すものの品質を上げる意識改革。そして、品質とともに納期厳守といった民間企業への発想転換だと指摘する。作業所の整理・整頓といった基本的な就労環境の整備に始まり、職員の支援と作業の役割の明確化による利用者のスキルアップ、良品と納期厳守の徹底、作業量確保のために職員が営業活動に従事するなど、活動継続のための施策を展開する。
また、特徴的な取り組みとして、住民との共同作業がある。すでに現役を引退されたが、技術をもつ地域住民から施設に通ってもらい、有償作業支援員として利用者と一緒に作業するのである。「まず、日頃は職員と接する機会しかない障害者が、地域住民とコミュニケーションできる環境の中でいろいろな人間関係を築く訓練になること。一方、地域の引退された高齢者の方などにとっては、働くことの生き甲斐を再び見いだせること。『わずかな収入にしかならないが、利用者から元気をもらって帰れる』という声もあり、施設の応援団になっていただいている」と、障害者と地域住民の共働に大きな意義があるという。そして、肝要なものが、地域住民の労働力を加えることによる生産性向上への寄与であるという。

作業品質も上がるとともに、忙しくても納期を守れる算段ができるため、企業からの作業委託量も増え、施設経営にも大きなメリットをもたらすようなったという。
「利用者が働きやすい作業工程の見直しなど企業の協力も必要ですが、障害のある人とない人の働く環境が身近にあることが重要で、障害のない人が障害者への接し方やコミュニケーションの仕方を覚えることにもなり、さまざまな偏見の払拭にもつながる」と実践者は語った。

また、障がい者が地域社会の担い手となるよう支援するのが障がい者施設の役割の1つであると同時に、社会資源を使って施設を運営するだけでなく、施設自身が地域の社会資源になる努力が必要だと力説する。「障害者の生活を支援することはもちろんだが、障害者支援を通して地域社会を変えていくことが、われわれの仕事だと考えています」とお話をされている。


下記に動画もアップいたしました。

https://www.youtube.com/watch?v=wUWFUVlSbz0&feature=youtu.be

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